《がん検診、推奨外を明記 厚労省が指針改定へ》──1月上旬、こんなニュースが一斉に報じられた。
厚労省は、公費で行う自治体のがん検診について、死亡率を下げる効果が確認された乳房、大腸、胃、肺、子宮頸部の5種類の検診を「推奨」して、検査法や開始年齢などを指針で示している。
だが一方で、これまで厚労省が「推奨しない」検査方法とはいったい何であるかを示してこなかった。
調査の結果、約87%に及ぶ自治体で国が推奨しない検診が行われていることが発覚。そこで厚労省は指針を改定して、死亡率を減らす効果が不明確な検診を「推奨外」として明記することを決めた。
がん検診には、自治体が行う検診で保険が適用される「対策型」と、個人が人間ドックなどで行って自己負担となる「任意型」がある。医療ジャーナリストの増田美加さんが語る。
「国が推奨するがん検診には、死亡率低下というエビデンス(医学的証拠)があります。一方、推奨外のがん検診は、患者の経済的・身体的な負担が大きいだけでなく、放置しても命とりにならないがんを治療することで逆に健康を害したり、合併症を引き起こすリスクの方が高い場合もあります。
また、がんには年齢によって発症のピークがあり、発症可能性の低い人が無駄に検診を受けることで過剰診療や過剰治療の危険もあります。これらは検診を受けるメリットよりも、デメリットの方が大きい。
しかし、推奨外となったすべての検診が悪いわけではありません。無駄な検診や合併症のリスクを理解して、自分にとって“受けるべき検診”“まだ受けてはいけない検診”は何なのかを考えていくべきでしょう」
本誌・女性セブンでは、厚労省の資料をもとに「国が推奨するがん検診」と「推奨しないがん検診」を独自にリストで作成。また、部位別にがん検診を推奨する年齢も表にまとめた。
◆乳がん
日本人女性に最も多く、11人に1人が罹患するといわれる乳がん。メジャーなのが乳房専用のレントゲン検査であるマンモグラフィーだ。
厚労省は、「40~74才のマンモグラフィー」を推奨する一方、「40才未満のマンモグラフィー単独法及びマンモグラフィーと視触診の併用」を推奨外としている。