「歯科治療」の世界には、急速な技術の進化がある。そのため、“かつての常識”が間違いだったと明らかになることが往々にしてある。その進化に追いついていない歯医者にかかると、症状が改善せず、むしろ歯の寿命を縮める可能性すらある。何が“最新常識”なのか。話題書『やってはいけない歯科治療』著者のジャーナリスト・岩澤倫彦氏がレポートする。
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抜歯原因1位の歯周病。重度の「歯周炎」に進行してしまうと、歯を支える骨が溶けて、もう完治はできない。さらに歯が大きく揺れてくると、抜歯するのが当然とされていた──。
だが、新常識として「手術」で救える可能性もある。
これまで不可能だった、重度「歯周炎」を治す新薬「リグロス」が2016年に発売された。歯周組織を再生する医薬品としては、日本初。「リグロス」の治療は、次のような手術が必要となる。
【1】歯周炎になった部分の歯肉を開く。
【2】プラークなど汚染物質を除去。リグロスを投与して歯肉で塞ぐ。
【3】リグロスの成長因子が、歯周組織の細胞を増殖させ、約半年で歯根膜や歯槽骨が再生する。