猫のしっぽは、種類や個体によって長さは異なるものの、構造は同じ。中心にしっぽを支える尾椎という骨があり、その周囲を筋肉が覆っている。
「尾椎の数はしっぽの長さで異なり、尾の長い猫の場合は18~24個あります。筋肉はすべての猫に共通で、6本の筋肉が左右対称についており、合計12本の筋肉で構成されています。これらが伸びたり縮んだりしてしっぽのさまざまな動きを作り出しています」と、代官山動物病院・自由が丘動物医療センターの獣医師・藤井仁美さんは言う。
そんなしっぽの役割には、主に次の4つがある。
【1】高いところを歩く時やジャンプをする時などに、体のバランスを取る。
【2】しっぽには“臭腺”というにおいを発する器官があり、しっぽを巻きつけたり擦りつけることで自分のにおいを物や相手につけ、マーキングする。
【3】寒い時は、しっぽをマフラーのように体に巻いて温める。
【4】相手(人間や他の猫など)に気持ちを伝える。
では、しっぽの動き別に、具体的な感情表現を紹介しよう。
「怖がっている時は後ろ脚の間にしっぽを挟み、不安などを感じている時は、だらんと垂らしているのが一般的。逆にピンと立てている時は、機嫌がよい証拠です」(藤井さん・以下同)
犬の場合、しっぽを激しく振っている時は機嫌がいいことが多いが、猫は正反対。バタバタと速く振っている時は不機嫌な時なのだ。ただし、ゆっくり大きく振っている時は機嫌がよく、リラックスしている状態だという。
「勘違いするかたが多いのですが、犬と猫では、しっぽから読み取れる気持ちに違いがあるので、注意して接しましょう」
他にも、しっぽの先だけピクピク動かしている時は、興味のある物を発見したなど、好奇心が刺激されている状態。地面に対して水平に伸ばしている時は、心が落ち着いて穏やかな状態か、周りの状況を冷静にうかがっている時だという。
言葉が通じなくても、しっぽを見れば、猫の気持ちがよくわかるはずだ。
※女性セブン2019年1月31日号