中国では他の人が予約した列車の指定席に勝手に座り、予約した当人が来ても席を占拠して、そのまま目的地まで居座り続けるという「座席泥棒」あるいは「座席乗っ取り」事件が後を絶たず、鉄道当局は12月1日から年末までの1か月で2856件の訴えを受理し、452人を処罰したことが明らかになった。これは、1日に1000万人もの人々が帰郷などで移動する春節(旧正月=今年は2月5日)の大型連休を控えているためで、当局は取り締まりに躍起となっている。
中国各紙によると、中国で座席の不法乗っ取り事件が注目されたのは昨年8月21日に発生したケースからだ。
中国東北部山東省の済南駅から北京行の高速鉄道に乗り込んだ22歳の王新頴さん(女性)が予約していた指定席に行ってみると、すでに中年の男が席に座っていたので、指定券を見せて「席を立ってほしい」と頼んだが、男は「早い者勝ちだ」と言って、一向に席を譲ろうとしない。
このため、王さんは乗務員に事情を伝えて、男に席を譲るよう説得してもらったが、男は「関係ない。ここは俺の席だ」などと言い張って、まったく説得に応じなかった。乗務員は王さんに男が席を空けるまで、「商務車廂(グリーン車)の席に座っていてほしい」と条件付きでグリーン車の席に案内された。結局、王さんはグリーン車に座ったまま終点の北京南駅に到着したという。
ところが、王さんと男のやり取りを他の乗客がスマートフォンの動画で撮影し、インターネットで公開したところ、男の身元が判明した。