飲料ブランドで販売開始から長い歴史を持つ商品は、炭酸系が多い。「三ツ矢サイダー」が135年、「ウィルキンソン」が115年(ともにアサヒ飲料)、次いで「キリンレモン」が昨年、90年だった(キリンビバレッジ)。
もう1つが乳酸菌系。「ヤクルト」が84年(ヤクルト本社)を数える。そして今年7月7日の七夕の日にヤクルトを上回る満100年を迎えるのが「カルピス」(アサヒ飲料)だ。
100年の節目にあたり、アサヒ飲料では去る1月17日、今後の方針説明会を開いたのだが、気合いの表れか、普段の発表会とは趣を異にするものだった。まず会場。東京スカイツリータウン内にあるプラネタリウムが使用され、カルピスの代名詞である水玉模様が天の川の星々をイメージしていることから、カルピスの世界観を表現したかったようだ。
加えて、プレゼンで登壇したアサヒ飲料の岸上克彦社長以下、男性スタッフはみな、水玉模様のネクタイを締めていた。さらに、こうした発表会や説明会の類はまず社長が登壇して挨拶し、詳細は担当役員や部長クラスがプレゼンをするのが通例だが、動画上映も含めて約40分にわたった今回のプレゼンは最後まで岸上社長が行い、質疑応答も同様だった。
これは、岸上氏が旧カルピス食品工業(段階的にアサヒ飲料と経営統合し、現在は会社としてのカルピスは消滅)出身で、カルピスという商品、ブランドにことのほか愛着を持っているためで、実際、プレゼンの冒頭、同氏はこう語っている。
「カランカラーンという氷の音が、五感で感じるカルピスの良さをものすごく表していると感じ、個人的にはとても好きです」
カルピスといえば、かつては夏の暑い時期、お中元ギフトで定番商品の1つという時代があった。コンクと呼ばれる希釈飲料で、カルピスは濃縮液を水で薄め、夏は氷を入れてかきまぜて飲む飲料として長らく親しまれてきた。
だが、時代の移り変わりとともにカルピスの存在感も“薄まって”いった時期が過去、何度かある。