スポーツ

稀勢の里に立ちはだかった「貴の幻影」と「ガチンコ遺伝子」

最後まで左腕の負傷が尾を引いた(時事通信フォト)

「8場所連続休場」や「8連敗」など痛々しい記憶を残して土俵を去らねばならなかった横綱・稀勢の里。休場が続く稀勢の里は、元横綱・貴乃花と比較されることが多かった。

 貴乃花は、2001年5月場所で右膝の大ケガを負いながら、横綱・武蔵丸を破って22回目の優勝。しかしそこから7場所連続で全休した。それが、稀勢の里にとっては“前例”となった。

「休場から復帰した場所で、貴乃花が12勝3敗の成績を残したこともあり、稀勢の里にも“きっと復活できる”という空気ができてしまった。

 ですが、2人の事情は違う。ずっと全休だった貴乃花に対し、稀勢の里は2017年11月場所で5つ、翌年1月場所で3つと、金星配給マシーンと化して途中休場することを繰り返した。フランスで手術し、懸命にリハビリに専念した貴乃花とは、本来同列に語れるものではなかった。おそらく本人がいちばんよくわかっていただろう。それもまた重圧になったはずだ」(若手親方)

 また、所属先・田子ノ浦部屋はかつての鳴戸親方(元横綱・隆の里、故人)の遺訓を継ぐ“変人部屋”で知られている。

「隆の里は、仲良くすると真剣勝負ができないとして、一門内の出稽古も禁じていた。その“孤高の部屋”で稀勢の里や大関・高安が育った。ただ、それでは周囲の部屋も反発し、相手も力を入れて本気で来る。当然徹底マークを受けるし、故障のリスクも上がる」(同前)

 先代の親方から受け継いだガチンコの遺伝子。それが横綱の寿命を縮める一因となったのかもしれない。

※週刊ポスト2019年2月1日号

関連記事

トピックス

現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
逮捕された元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告(過去の公式サイトより)
「同僚に薬物混入」で逮捕・起訴された琉球放送の元女性アナウンサー、公式ブログで綴っていた“ポエム”の内容
週刊ポスト
まさに土俵際(写真/JMPA)
「退職報道」の裏で元・白鵬を悩ませる資金繰り難 タニマチは離れ、日本橋の一等地150坪も塩漬け状態で「固定資産税と金利を払い続けることに」
週刊ポスト
精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン