「歯科治療」の世界には、急速な技術の進化がある。そのため、“かつての常識”が間違いだったと明らかになることが往々にしてある。だが、“最新”とされる治療が最善とは言えないケースもあるので注意したい。話題書『やってはいけない歯科治療』著者のジャーナリスト・岩澤倫彦氏が、インプラント治療についてレポートする。
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最近、「インプラントの治療期間の短縮」をアピールする歯科医が増えている。基本的なインプラント治療は、人工歯根を顎骨に埋入して、骨折が治るのと同様に、2~6か月間、結合するのを待つ。
「埋入後即時荷重」は、人工歯根の埋入と同時に「歯の部分」となる上部構造も装着する方法。これを可能にしたのが、人工歯根の表面を粗面加工して、早期に骨と結合させる技術だ。
なかでも、片顎12本分の歯を4本のインプラントで支える「オールオンフォー」を「埋入後即時荷重」で行なう歯科医院が、人気を集めているが──。
人工歯根の粗面加工は、感染を引き起こしやすいという重大な問題が分かってきた。これはインプラント周囲炎と呼ばれる症状で、最悪の場合はインプラントを撤去しなければならない。
小宮山彌太郎氏(ブローネマルク・オッセオインテグレイション・センター院長)は次のように解説する。