受験シーズンが到来した。スタートダッシュのカギを握るのは、すべての国公立大学とほとんどの私立大学で採用されている共通試験のセンター試験だ。今年も1月19日、20日に全国で一斉に行われ、約57万6000人が「サクラ咲く」を目指した。
大手予備校である河合塾の分析によれば難易度は概ね例年並み。奇をてらうような問題や大きな変化などはほとんどなかった。
結果によって「足切り」のある国公立大の志望者はもちろん、センター試験を利用する私大の志望者も、血眼になって試験に臨むことは、今も昔も変わりない。だが一方で、受験生のマインドは大きく変化している。
「とにかく名前のある大学がいい。センター利用でどこかに引っかからないかな…」
「早稲田大に入りたいから、すべての学部を受験します」
といった受験生が、近年は減り続けているのだ。
そもそも、この時期すでに、進学する大学が決まっている受験生も多い。彼らは昨年8月末から11月末にかけて、面接や小論文など一般入試とは違った形式で行われるAO入試や、推薦入試を受けているのだ。こういった形式の入試を実施する大学の数は過去最多だ。
入試の方法や時期が多様化し、大学受験は様変わりした。さらにこの先は2020年1月を最後にセンター試験が廃止され、2021年から「大学入学共通テスト」が始まる。日本の教育界が大きな転換期を迎えるなか、大学は、そして受験生たちはどう変化しているのだろうか。
◆大学を測る物差しが偏差値ではなくなった
今やすっかりおなじみとなったAO入試。学力試験を課さず、面接や高校までの活動内容、小論文などで人物を評価する入試で、1990年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)が初めて導入した。
以降、AO入試や自己推薦といえば、早稲田大学教育学部の広末涼子(38才)をはじめとした、一芸に秀でた芸能人や帰国子女を選抜する入試とのイメージが強い。AO・推薦入試専門塾「城南AO推薦塾」を運営する、城南進学研究社キャリアデザイン本部長の岡田雄介さんが指摘する。
「それは20年も前の話です。少子化で受験生が大きく減った現在は、一般入試より早く必要な学生を確保するため、各大学ともAO入試に力を入れています。さらにグローバル化が進み、コミュニケーション力や主体性が求められる世の中において、以前のような知識のみを身につけた偏差値の高い学生よりも、表現力やリーダーシップなどに秀でた学生を集めたいという大学側の意向も強くなりました」(岡田さん・以下同)
大学が求める学生像が変化するに伴い、塾のあり方も変化した。
「ひと昔前は、黒板があって講師がいて生徒が大勢という講義型の集団指導がメインでしたが、今は個別指導塾が半分近い。授業内容も講師が一方的に教えるのではなく、受講生が自分の意見を述べて周囲とディスカッションするなど、受講生が主体のスタイルへと変わったのです」
入試の様式が変化するに伴い、大学の「序列」も変わりつつある。