いよいよ決戦の時、である。受験生を抱えているかそうでないかで全く異なる心持ちになるこの季節、口から災いを生むことは避けたい。コラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。
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高校受験に大学受験、あるいは中学受験に小学校のお受験など、まさに受験シーズン真っ盛りです。当事者や家族にとっては極めて重大でデリケートな問題ですが、周囲にとってはそうでもありません。しょせん人ごとなので、受験生の親から「いやあ、第一志望を落っこっちゃってね」などと言われても、うっかり不用意な言葉を言いがち。
しかし言われたほうは、我が家の受験は世界中の関心事であり大問題ぐらいに思っているので、不用意な言葉を一生根に持ちます。ひとつ間違えると、人間関係や出世に影響を及ぼしかねません。大人としてそんな迂闊な失敗をおかさないために、よその家の受験について、結果別の「言ってはいけないひと言」を押さえておきましょう。
●子どもが第一希望の学校に見事に合格した親に「言ってはいけないひと言」
第一志望に合格したなら何を言っても大丈夫だろう、と思ったら大間違い。相手はそれなりに浮かれつつも、微妙な思いを抱いている可能性があります。
・危険度20%「トンビがタカを生んだとはこのことですね」
おなじみのことわざですが、これは「平凡な親から優秀な子どもが生まれた」という意味。わかった上で冷やかすニュアンスで言ったとしても、とくに相手が上司でかつ器が小さいタイプだと、「俺をバカにしてるのか!」とヘソを曲げかねません。
・危険度50%「○○さんちのお子さん(△△さん)と同じ学校ですね」
大学受験の場合、引き合いに出された側の学部が、自分の子どもが行く学部より偏差値が上でも下でも、相手は気分を害するでしょう。また、相手がその○○さんや△△さんのことを嫌っていたりすると、せっかくの喜びに水を差されたと感じそうです。
・危険度80%「うわー、それはラッキーでしたね」
こっちとしては「実力を存分に発揮できて何より」という意味で言っているつもりでも、相手は「運じゃなくて実力だ!」と不愉快になるでしょう。万が一「いやあ、本当にラッキーだったよ」と鷹揚に受け止めてくれたとしたら、それはかなりラッキーです。