引退した横綱・稀勢の里は、年寄「荒磯」を襲名し、今後は部屋付き親方として後進の指導に当たる。
「荒磯の年寄株は、元前頭の玉飛鳥に貸していました。それが昨年4月、玉飛鳥が『熊ヶ谷』に借り替えた。稀勢の里がいつ引退するかという状況で、急いで返した形です」(協会関係者)
ただ、“荒磯親方”となったあとも受難は続く。中堅親方の1人が言う。
「出ては途中休場ということを繰り返し、連続休場は8場所まで伸びた。それでも横綱でいられたわけですから、他の横綱にも、“公平”な扱いをしなければなりません。
白鵬は東京五輪での土俵入りを目指し、鶴竜は親方になるための帰化申請にまだ時間がかかるため、なんとしてでも横綱で居続けなければならない。そうなると稀勢の里にはまだ“利用価値”がある」
横綱に降格はなく、成績が悪ければ引退を迫られる。不調を押して満足な相撲が取れないくらいなら、休場してしまえばいい。稀勢の里という“前例”がある以上、「文句を言われる筋合いはない」と開き直られたら協会も強くは言えない。のらりくらりと延命を続けるための「都合のいい言い訳」になってしまうのだ。