競馬の降級制度廃止によって、「1勝クラス」「2勝クラス」「3勝クラス」「オープン」とクラス分けがすっきりとし、ファンにとっては馬の実力関係がわかりやすくなる。しかし同時に複雑な変化が生まれてくる。『週刊ポスト』での連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、競走馬の「クラス分け」によって起きる変化についてお届けする。
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まず、それぞれのクラスで「二極化」が進む。前回でも少し触れていますが、同クラス内で、強い馬と、ほとんど勝てない馬の二つに分かれそうです。これまでは、思ったように勝ちきれない馬は降級制度のおかげで態勢を立て直すことができた。角居厩舎の場合、昨年はブラックスビーチ、グローブシアター、ザクイーンがそうでした。制度の恩恵にあずかってじっくりと力を溜め、後の飛躍につなげたのです。逆にいえば、降級制度を睨んでの馬の調教プランを組んでいたわけです。
たとえばグローブシアターは、昨年2月に小倉の皿倉山特別(1000万円以下)を使い、いい競馬でしたが勝ちきれず3着。そこでしばらく短期放牧に出してじっくり調整、5月に厩舎に戻して京都の白川特別を勝ちました。この時点で1600万円以下(準オープン)に昇級しましたが、6月になって1000万円以下に降級。直後の6月9日に三田特別を勝つことができて再昇級しましたが、準オープンを使うことなく4か月間放牧に出して調整。10月から使い始め、3戦目で1600万円以下クラスを勝ちました。もともと力のある馬ですが、1着賞金が1500万円という1000万円以下特別を2回勝っているわけです。
今年からは、そういったチャンスがなくなります。まず、現状の500万以下クラスで勝てなかった4歳馬は、3歳馬と走るようになると、ますます苦しくなる。
また、たとえば早い時期に2歳3歳限定のオープン特別を勝ったり、重賞で2着に入ったりした馬などは、古馬と走るようになった時、まったく通用しないケースもありえます。