稀勢の里の引退で、またも「日本人横綱不在」の時代がやってきた。次の日本人横綱は出てくるのか。漫画家のやくみつる氏は、現在の三役クラスに横綱候補はいないとみている。
「正直、今の力士を見渡すと、大関候補はかなりの人数が指折れるんですが、そこから上に抜け出す者を見極めるのは難しい。横綱に近い大関と言えば高安を挙げざるを得ないが、攻撃型の力士ですし、受けに回るとモロい。同じように、初場所で白鵬に土をつけた御嶽海(小結)も、大関止まりではないか。次の日本人横綱まで、かなり時間がかかるかもしれない……。
そんな状況で強いて言うなら、阿武咲(前頭6)ではないか。今のところ、同い年の貴景勝(関脇)に先を行かれているが、大関昇進はともかく、横綱昇進は阿武咲が先だと思います。押し一辺倒の貴景勝の相撲は安定性に疑問符がつきます。もちろん、過去には攻めだけの横綱もいましたが、短命で終わることが多い。
横綱には『受け』の相撲も必要です。ガチガチの四つ相撲でなくても構いませんが、阿武咲の方が器用な相撲を取れる点が評価できます」
※週刊ポスト2019年2月8日号