「早稲田大学医学部」の誕生が現実味を帯びてきた。昨年11月、総長選のマニフェストで医学部創設を検討すると明記した田中愛治教授が新総長に就任。同氏は「単科医科大学を吸収合併する戦略に絞って考えていく」としている。
大学事情に詳しいジャーナリスト・石渡嶺司氏の話。
「合併相手として有力視されているのが東京医科大学です。昨年、文部科学省の局長の息子の裏口入学や女子受験生への不利な採点などが明らかになり、1月22日には私立大学助成金23億円全額カット(平成30年度分)のペナルティを受けました。受験者数も激減して台所事情が苦しい東京医大と、医学部創設が悲願の早大は、マッチングとしては最高です」
私学の雄である早大が、本当にそんな“事故物件”の獲得に動くのか。早大の広報からは回答を得られなかったが、早大を卒業後に他大学の医学部に転じた医師らの校友会「稲門医師会」会長の羽鳥裕氏に聞くと、「東京医科大との合併云々といったことについては答えられません」とした上でこう続けた。
「医学部ができてほしいという思いはずっとあります。スポーツ科学部などと連携しての研究などの相乗効果も望めるので、そうなれば嬉しい。慶應卒の先生方は、作るのは無理だと思うよとコテンパンにおっしゃいますが(笑い)」
念願の医学部創設で早慶のブランド価値は逆転するかもしれない?
※週刊ポスト2019年2月8日号