大学入試シーズンに突入した。昨年は、医学部を中心に、性別や出身地など、公にされていない基準で入試選抜が行われていたことが次々と発覚し問題になった。経営コンサルタントの大前研一氏は、今こそ、日本の大学入試を転換する好機であると考える。新刊『50代からの稼ぐ力』も話題の大前氏が解説する。
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いよいよ大学入試が本格化する。
昨年は東京医科大学をはじめとする医学部の不適切入試が大きな問題となり、文部科学省は医学部医学科がある全国81大学を調査した結果、女子や浪人回数の多い受験生を不利に扱ったり、卒業生の子供や地元出身者を優遇したりしていた9大学を「不適切入試」と認定した。
過去の入試で合格ラインを超えていた不合格者の追加合格を認めた一部の大学は、今春の募集定員を減らす方針を示したが、文科省は受験生への影響を考慮して定員超過を特例的に認めると発表。追加合格者が44人と多い東京医科大を除く8大学は募集定員をほぼ当初のまま据え置くことになった。
文科省に不適切入試と認定された大学側は「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる」(東京医科大)、「医師や病床数が少ない地域の出身者を優遇した」(神戸大)、「現役のほうが伸びる」(昭和大)などと弁明しているが、なかには意味不明なものもある。たとえば順天堂大は「女子のほうがコミュニケーション能力が高く、男子を救うため補正した」というが、患者の立場からすれば、医師はコミュニケーション能力が高いほうがよいに決まっている。順天堂大の言い訳は、大学と一般社会の常識のズレを如実に物語っている。