東京五輪開会式での土俵入りという、大舞台が1年半後に迫るなか、国技の未来を担う「次の日本人横綱」は出てくるのか。横綱になる力士は然るべき「勢い」を持って駆け上がって来る。そう熱弁するのは芥川賞作家の高橋三千綱氏だ。
「僕は貴景勝(関脇)のことを“ウシガエル”と呼んでいます。何でも食べる悪役という意味を込めた呼び名ですが、あのふてぶてしさはそう真似できるものではない。
もう少し長い目で見て可能性を感じるのは、十両の貴源治です。191センチ、170キロと横綱にふさわしい恵まれた体があり、まだ21歳という若さも魅力です。今は、突きと押しの相撲です。元・貴乃花親方は、突きと押しの基本を叩き込み、その先に四つ相撲を教えることを信念にしていました。ところが、貴源治は四つ相撲を教えてもらう前に、“師匠”が角界を去ってしまった。
千賀ノ浦部屋に移りましたが、前部屋では許されなかった出稽古で精進すればいい。十両にいる間に投げや多彩な技を覚えれば、幕内に上がってからはあっという間に三役ですよ。その先に綱取りがある」
※週刊ポスト2019年2月8日号