「おにぎりブーム」が到来している。中でも、おにぎり好きの聖地と呼ばれるのが東京・大塚の『ぼんご』だ。午前11時半の開店前から行列ができ、閉店時間の24時まで職人たちがカウンター内でおにぎりを握り続ける。昭和35(1960)年創業の大人気おにぎり専門店を密着取材した。
朝7時。シャッターが閉まった店の中で、仕込みが始まる。1日に炊く米の総量は1俵(60kg)以上。新潟県岩船産の棚田米コシヒカリに合う味付けの具材を毎日55種類揃える作業にも、手間と時間をじっくりかける。一番人気の「しゃけ」(250円)に使用する鮭は、焼いた後に小骨を1本1本抜き取り、細かなフレーク状に丁寧にほぐす。
開店するや満席になり、客の注文の声やおにぎりを握る作業で店内は一気に活気づく。
ふわふわ、熱々のおにぎりを頬張ると、絶妙な塩梅の美味しさに自然と笑みが出る。壁一面に貼られた品書きや、カウンター前に置かれた多彩な具を眺めながら、次は何を食べようかと思案する時間も楽しい。おにぎりは250~550円。どれもご飯だけで150グラム。具材を入れると200グラム前後~300グラム前後とボリューム満点だが、2~3個食べる客が大半という。
「ぼんごのおにぎりは、大きい、具が多い、あったかいの三拍子揃っているのが特徴。具材倍盛りもプラス50円からできるんですよ」と、女将の右近由美子さんが説明する。別の具材を1種類追加する「トッピング」もプラス50円~で可能。その組み合わせは無限に広がり、客の注文によって新しい美味しさを発見することも珍しくない。