グラビア写真界の第一人者、渡辺達生氏(69)が“人生最期の写真を笑顔で撮ろう”とのコンセプトで立ち上げた『寿影』プロジェクト。渡辺氏は、自然な笑顔を引き出すべく、撮影する人に「一品」を持ってきてもらって、それにまつわるエピソードを聞きながら撮影する。
元プロボクサーの具志堅用高氏(63)が持ってきたのは、WBAから贈呈された「スーパーベルト」。
ハングリー精神を拳に込めて世界王者となった具志堅氏。13連続防衛の日本記録を遂げ、国際ボクシング殿堂入りを果たした。WBAから贈られたスーパーベルトはそうした功績の証だ。
「今も鮮明に覚えているのは、王者ファン・ホセ・グスマンとのタイトルマッチ。右アッパーでとどめを刺したけど、最も手応えがあったのは最初にダウンをとった右フックだよ」
王座獲得は沖縄本土復帰から4年後のこと。英雄となった石垣島の漁師の次男坊は、沖縄の人々の希望となった。今は天然キャラでタレント業もこなすが、優先するのはジムでの指導。
「若いボクサーが僕に夢を与えてくれている。70歳くらいまでは世界チャンピオン誕生に力を注ぎたい」
昨年末、5人目の孫が誕生。
「初の男の子。一緒にスポーツ観戦がしたい。しかし、女の子は嫌われそうで叱れないね(笑い)」
世界のカンムリワシも孫には簡単にノックアウトされそうだ。
【プロフィール】ぐしけん・ようこう/1955年、沖縄県生まれ。元プロボクサー。1976年、WBA世界ジュニアフライ級(現ライトフライ級)王座を獲得。4年間で13度連続防衛後、1981年に引退。ボクシングジム会長を務める傍ら、芸能活動でも人気を博す。
◆撮影/渡辺達生、取材・文/スペースリーブ
◆小学館が運営する『サライ写真館』では、写真家・渡辺達生氏があなたを撮影します。詳細は公式サイトhttps://serai.jp/seraiphoto/まで。
※週刊ポスト2019年2月1日号