今年もバレンタインデーの季節がやって来た。デパートやコンビニには専用コーナーが設けられ、年に一度の「女性から男性に告白する日」に街は色めき立つ。
製菓メーカー・ロッテの調査では、3人に1人が「バレンタインに愛の告白を意識する」という。夫にチョコを渡し、この日だけは結婚前の甘酸っぱい気持ちを思い出す人もいるだろう。恋のときめきは、いくつになっても色褪せることはない。
だが、その恋愛の形が、今、若者を中心に多様化している。LGBTを支援する認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権さんはこう指摘する。
「ここ2年ほどで、“性は多様”という意識が世の中に浸透し、メディアでも適切に表現されるようになってきました。今、社会がセクシャルマイノリティー(性的少数者のこと。以下、セクマイ)を取り巻く環境は過渡期にあり、これまで存在していても見えていなかったセクマイの存在が“見える化”され始めています」(松中さん)
◆結婚後にカミングアウトすると夫は「やっぱりね」とだけ言った
昨年、ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)は男性同士の恋愛を描いて大ヒット。経済評論家の勝間和代さん(50才)は本誌・女性セブンで、同棲するレズビアン女性とのなれ初めを堂々と語り、大きな話題を呼んだ。
電通ダイバーシティ・ラボが実施した「LGBT調査2018」によると、LGBTに該当する人は8.9%だ。さらに「LGBTを知っている」と答えた人は68.5%で、2015年の同調査から30ポイント以上アップした。
性的少数者への差別禁止を盛り込んだ東京都の人権尊重条例の可決や、同性のカップルを結婚に相当するパートナーとして公認する「パートナーシップ制度」の導入も全国の自治体で進む。
その一方で、昨年は、杉田水脈衆議院議員(51才)のLGBTカップルに対する「生産性がない」発言が大炎上し、議論を巻き起こした。
LGBTの普及活動を行う現役女子高生でレズビアンの都城魔夜(みやしろまや)さんも、世間の「逆風」を受ける1人だ。
「親にカミングアウトしたら、『気持ち悪い』と言われました。今は1つ年上の彼女がいますが、知り合いの目を避けて遠くまで行かないとデートできない。理解してくれる友達もいますが、“性別は男女だけ”“恋愛対象は異性だけ”と考えている人たちには、差別的に見られていると感じることもあります」(都城さん)
セクマイの人々にとって性別は「男女」だけではない。「トランスジェンダー」や「Xジェンダー」など出生時の性別とは異なったり、性別に縛られずに生きる人もいる。恋愛相手の対象も「異性」だけではないし、「同性」とも限らない。
埼玉県在住の吉野愛さん(40才)は、すべての性的指向者を性的な対象として見ることができる『パンセクシャル』を公言している。高校時代にLGBTの存在を知り、学校やネットを通じてさまざまな出会いを繰り返した。