がんを早期発見すべく検査を受けても見逃されてしまうことはある。たとえば、大腸がんの発見のために広く実施されている便潜血検査(いわゆる検便)では3人に1人の割合で、大腸がんが発見されないというデータがある。
また、バリウム検査で胃がんの早期発見が難しいのはもはや定説で、厚労省の「地域保健・健康推進事業報告」(2016年度)によると、1年間で13万人発生する新規の胃がん患者のうち、自治体のバリウム検査で見つかったのはわずか4500人だった。また、胃がんの原因の95%ともいわれるピロリ菌を除去しても胃がんリスクは3割残るという指摘もある。
では、どうしたら良いか。大腸がん、胃がんともに発見率が高いのが内視鏡検査だ。
先端部にライト、カメラ、鉗子のついた管を、大腸がん検査の場合は肛門から、胃がん検査の場合は口か鼻から挿入し、内側から臓器を直接観察する。観察しながらポリープや初期の腫瘍を切除できるメリットもある。
「大腸内視鏡では、便潜血検査で発見しにくい『腺腫性ポリープ』を見つける確率が格段に高くなります。このポリープを切除すれば、大腸がんの発生を8~9割抑えられるとされます」(とよしま内視鏡クリニック院長の豊島治医師)
胃カメラ(上部消化管内視鏡)は、高精度であることに加えて「他のがん」も発見できる可能性があるのも利点だ。
「胃カメラはバリウム検査と違って胃内部の色の変化まで見られるので、精度が飛躍的に向上しました。また口や鼻から胃までカメラを入れるため、途中にある咽頭、食道など胃以外の部分のがんや病変も確認できます」(宮崎善仁会病院消化器内科の押川勝太郎医師)