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「ネットで墓参」も… 葬祭ビジネスはさらなる拡大へ向かう

ロボット僧侶も登場か(EPA=時事)

「終活ビジネス」が活況を呈していると言われている。現状では葬祭関連市場は約1.8兆円とする試算があるが、『50代からの「稼ぐ力」』を上梓した経営コンサルタントの大前研一氏は「インバウンド市場に匹敵する4兆円市場になる可能性がある」と指摘する。

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 数年前に、定価3万5000円の「お坊さん便」がアマゾンに登場して話題となった。すぐさま伝統仏教の連合組織・全日本仏教会が「お布施はサービスの対価ではない」と定額表示に反対し、販売停止を求めるなどの騒ぎとなったが、「お坊さん便」への問い合わせ件数は大きく増えており、当初は350人程度だった「お坊さん便」の提携僧侶の数は、すでに1100人を超えている。客も僧侶も、こうしたサービスを必要としていた、ということだろう。

 サービスを提供しているのは、2009年創業のITベンチャー企業「よりそう」だ。定額で僧侶を手配するWebサービス「お坊さん便」は、2013年5月からスタートしている。2018年2月には、民泊仲介サイト「エアビーアンドビー」との提携を発表。全国の僧侶・お寺を募集する特設ページを公開し、今後は国内各地の寺院を活用した宿坊や座禅・写経などの体験コンテンツを提案していくという。使われていない「お寺」に目をつけた発想と言えるだろう。

 私が塾長を務める「アタッカーズ・ビジネススクール」では「これからの日本の成長産業は葬祭ビジネスだ」と言い続けているが、実際、卒塾生の中に葬祭ビジネスで成功を収めている人がいる。「鎌倉新書」の清水祐孝会長だ。

 清水氏は、証券会社を経て父親の経営する鎌倉新書に入社した。当時の鎌倉新書は、主に仏教書を扱うマイナーな小出版社だった。専門家相手の商売だった同社を、彼は葬儀や墓石、宗教用具などの業界へ向けた出版社に転換した。さらに、出版業を「情報加工業」と自分なりに定義付け、セミナーやコンサルティング、インターネットサービスへと事業を拡大していった。日本初の終活サイトを作り、現在は「終活ビジネス情報局」「いい葬儀」「いいお墓」「いい仏壇」「遺産相続なび」「看取り.com」「お葬式消費者相談.com」など終活関連の様々なポータルサイトを運営している。会社は成長を続けて2015年に東証マザーズ上場を果たし、2017年には東証一部に昇格した。

 葬祭ビジネスの市場規模は約2兆円と言われている。矢野経済研究所の「2017年版 フューネラルビジネスの実態と将来展望」によれば、2016年の国内の葬祭ビジネス市場規模は前年比100.7%の1兆7944億円だが、私の試算では4兆円あってもおかしくない。

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