一般的になってきた「LGBT」という言葉。メディアにおいてセクシャルマイノリティー(セクマイ)にスポットが当たることが増えているが、昨今は異性愛や同性愛だけでは語れない多様な恋愛観が存在している。たとえば、他者に性的に惹かれることがない人の総称としての「アセクシャル」、基本的に他者に性的に惹かれることはないが、深い愛情や友情などのつながりを感じた場合にのみ、性的に惹かれる人を指す「デミセクシャル」といった言葉もある。
あるいは、恋愛はできるが、性的には惹かれないという人もいる。このタイプは「ノンセクシャル」、または「ロマンティック・アセクシャル」と呼ばれる。恋愛的にも性的にも他人に惹かれることがない人は、「アロマンティック・アセクシャル」に該当する。
「相手を好きになってつきあうことはあるけど、肉体的接触がムリ。触れることも手をつなぐこともできません」
そう語るのは、ノンセクシャルを自認する高校3年生の女性・らむさん(18才)。男女問わず他者に恋をすることはあるが、性的欲求は抱かない。
「つきあっている人に『好き』という気持ちはあるけど、体の触れ合いが一切できないんです。女友達となら手をつなげるのですが、そこに恋愛的な“好意”があると相手が誰であろうと嫌悪感を抱いてしまって、つなげません」(らむさん)
昨年秋、らむさんは1才年上の男性から告白された。その時、「体が触れ合う行為は一切できないけど、大丈夫?」と念を押すと、男性は受け入れてくれたというが…。
「その男性は、つきあったら私が変わると思っていたようで、『何でムリなの?』『経験してみないとわからないだろ?』と、無理に手をつなごうとしてきたこともありました。私は2人きりで出かけるだけで満足できるんですが、それでは普通の人からすると友達と変わりませんよね。彼に、『性的な欲求は外で発散してもいいんだよ』と提案したこともあるのですが、『それじゃ意味がない!』と怒り出して結局、別れました」(らむさん)
まだ10代のらむさんは、今後の恋愛に不安を隠せない。
「私は恋愛感情と肉体的なことは別だと思うけれど、ほとんどの人にとっては切り離せないもの。最近は、片思いはできるけど、つきあうと相手に迷惑をかける気がして、つきあおうとは思えない。家族にはノンセクだと明かしていませんが、将来、子供はつくれないから、親に申し訳ないという気持ちが強いんです」(らむさん)
※女性セブン2019年2月14日号