《がん検診を受けない人は、喫煙者や運動不足の人と同様に、総死亡率が高い》2018年末、アメリカ国立がん研究所が発表したこの研究結果を知ると、一刻もはやく検診を受けようと飛びついてしまうかもしれない。
しかし、検診の精度は医師の腕に左右される。例えば、胸部X線検査や、胃のバリウム検査、乳がんのマンモグラフィー検査などは医師の力がかなり大きい。そのほか、CTやMRI、大腸や胃の内視鏡検査、超音波検査も、そうだ。
力量のない医師にあたってしまうと、病変が発見できないこともある。経過観察とすべきなのに、見逃してしまうこともあるのだ。加えて、検診時に患者と交わす会話にも、医師の力量は表れる。昨年末のこと。主婦の丸山洋子さん(仮名・48才)は胸のしこりを感じたので、乳腺外科を受診した。
「“乳がんだったらどうしよう”と心配になって、マンモグラフィー検査をしてもらいました。すると先生は画像を見て、『小さいのがあるけど、無視して大丈夫』と言っただけ。それ以上の説明をしてくれなかったので、逆に不安になってしまいました」
東京ミッドタウン先端医療研究所の森山紀之医師さんが言う。
「医師にとって“大丈夫”はいちばん簡単な言葉です。大丈夫と言っておけば、患者さんは安心して帰ってくれるので医師としては楽な言葉なんです。『現時点では○○だから大丈夫』と理由や詳細を説明するならいいのですが、単に『大丈夫』『心配ない』を頻発する医師がいたら、要注意。『小さい影が写っているけれど、現時点ではがんとはいえない。経過観察のため半年後にまた来てください』などと具体的に説明するのがいい医師です。『大丈夫』は安易に使う言葉ではない」
胃カメラや大腸カメラは恥ずかしかったり苦痛を伴うこともあるため、受けるハードルが高い検査だが、会社員の川田亜希子さん(仮名・53才)は、医師の言動によって二度と受けたくない気持ちになったとため息をつく。
「胃カメラをのんだときに、嘔吐がとまらず、『苦しい』と訴えても、先生は『みんな頑張っているんだから、がまんしてください』と冷たく言うだけ。余計につらくなってうまく入らなかったようで、途中でパニックになってしまいました。先生は『なんでがまんできないの?』『アンタみたいな人は初めて』と怒り出し、最終的に中断されました。口コミで有名な病院を探したつもりだったんですが…」
こんなふうに聞く耳を持たない医師にも注意すべきだ。森山さんが言う。
「能力のない医師ほど自分の力を過信し、すぐに患者さんのせいにして不機嫌になります。偉そうな口調で患者さんの不安をあおったり、質問に対して面倒くさそうな態度を取ったりするような医師がいる病院や施設なら、受ける場所を変えた方がいいでしょう。患者さんに対して横柄な態度を取る医師は画像診断の際に別の医師から指摘を受けても、指摘を見落としたり、意見を聞き入れることができなかったりすることが多いのです」
※女性セブン2019年2月14日号