こんなところに目を付けるとは……。最近になって相次ぐ「暴力団の新たな資金源」に関するニュースに接するたび、驚かされる。いったい彼らはどのようにしてさまざまなサイドビジネスに手を伸ばしているのか。「ヤクザ取材」のエキスパート溝口敦氏(ジャーナリスト)と鈴木智彦氏(フリーライター)が明かす──。
◆カネ稼ぎは「プライベート」
鈴木:恐喝で逮捕された40代の暴力団組員が、LINEスタンプ(LINE上で使える画像アイテム)を作成し販売していたことが発覚し、“新たなシノギ(資金獲得活動)か”と報じられましたね。
溝口:シノギといっても、600円で売っていたという話だから、売りつけたとしてもたかが知れています。そもそも、暴力団関係者しか買わないでしょう。
鈴木:そのスタンプ、短髪の男の頭に「アニキと一緒です」「本部です」「若いのを行かせます」とか書いてあるだけですからね。もしみかじめ料の代わりに一般人に強制的に買わせるにしても、猫や犬のかわいいキャラとか、せめて無関係に見えるように作ればいいのに。
溝口:要するに警察がしらみつぶしにヤクザのシノギを潰していっているんですよ。だからこんな変わった商売に手を出す。私のところに、たまにヤクザから「ツムツム」(LINEのパズルゲーム)をやりましょうよ、って誘いが来る。純粋にゲームをやるわけではなく、恐らくスコアを競って賭け事にしてカネを稼いでいるんでしょう。稼ぎになりそうなネタはなんでも使う。
鈴木:昔、知り合いのヤクザが向こうから来る車のナンバーの番号を足したら偶数か奇数かでずっと賭けてたことがありました(笑い)。
溝口:ヤクザが日本でライセンスを持つネットカジノはいまだに多いですね。建前としてはフィリピンのカジノを中継するだけで、胴元はフィリピンにいる。だからネットカジノは罪にならないというのがヤクザの言い分でした。
鈴木:ところが最近では末端でカネの受け渡しをしていればもうその時点で賭博だということでパクられるようになってますよね。