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『ファースト・マン』主人公の実子が語る宇宙飛行士の家族

マークさんの父親・ニール船長(時事通信フォト)

 アポロ11号が月面着陸を果たしたのは1969年7月20日。今から約50年前のことだ。人類が月面を歩く姿は約38万km離れた地球の40か国に中継され、6億人がその歴史的な瞬間に釘付けとなった。

 搭乗者の1人で最初に月面に降り立った、故・ニール・アームストロング船長(享年82)が語った言葉、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」はあまりにも有名だ。

 そのニール船長の半生を描いた映画『ファースト・マン』(日本公開は2月8日)が、アカデミー賞4部門にノミネートされ、話題となっている。

 アポロ計画以降、インタビューにあまり応じなかった彼の素顔はほとんど知られていないが、映画では、家族の協力のもと、彼の素顔が当時そのままに描かれている。

 映画で取材監修を担当したニール船長の次男、マーク・アームストロングさん(55才)は、父についてこう語る。

「普段の父は、仕事から帰ってくるとキャッチボールをしたり、プールで泳いだり、よく遊んでくれる、どこにでもいるお父さんという感じでした。

 今回、映画の撮影をする前に、デイミアン・チャゼル監督に当時の話をたくさんしたのですが、監督は、当時私たちが住んでいた家と同じものをロケ地に建て、そこに、俳優たちを実際に住まわせ、自由に過ごす交流の時間を持ったのです。カメラを回しっぱなしにしてね。

 その映像を見たら、当時そのままで、父がふざけて私を小脇に抱え、冷蔵庫に私の頭をつっこむシーンがあったりして…懐かしさで胸が熱くなりました」(マークさん・以下同)

 ユーモアにあふれた部分がある一方、シリアスなシーンもしっかり描かれている。実際のところ、月に行くのは危険すぎるミッションで、訓練中の度重なる事故により、飛行士仲間の幾人かは命を落とし、月に辿りつけたとしても無事に帰還できる保証はなかったのだ。

「父が月に行った時、私は6才だったので、それが、どれほど危険な任務かわかっていなくて、父は必ず帰ってくるものと信じていました。母は生きた心地がしなかったと思います。心配事が山積みで、かつ自分では解決できない事柄ばかりだったのです。

 でも、私は母の思い悩んでいる姿を一度も見たことがないんです。だから、父と同様、母も私にとってはヒーローなのです。昔の知り合いに聞くと、ちょっと怖い人だったみたいですが(笑い)」

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