親が亡くなると、子供は悲しみに暮れる暇もなく、煩雑な手続きや届け出に追われることになる。面倒な死後の手続きのなかでも、特に大きな負担となる「相続」についてまとめた。
相続の手順としてはまず「遺言書」を探す作業がある。一般社団法人相続手続カウンセラー協会代表の米田貴虎氏がいう。
「遺言書は自宅の金庫や箪笥などに保管しているケースが一般的です。遺言者が自分1人で作成できる自筆証書遺言であれば、日付と名前、認印でもいいので判子が押してあればチラシの裏に書かれていても法的に有効なので、慎重に探す必要があります。
公正証書遺言であれば、自宅で見つからなかったとしても最寄りの公証役場へ行けばいい。平成以降に作られた遺言であれば電子データ化されているので、全国どこの公証役場からでも確認できます」
自筆の遺言は家庭裁判所での「遺言書の検認」がないと、相続手続きを進められないので注意が必要だ。
相続人の調査をしたら、「法定相続情報一覧図」を作成。法定相続情報証明制度を利用して、法務局で認証文の交付を受ければ、その後の手続きで戸籍関係書類一式の代わりになり手間や費用が省ける。
財産目録がない場合は、相続財産の調査をする。
「通帳に記載されている引き落としや入金、振込などの取引明細から株や投資信託、借金の存在などを突き止めていく。親が生きているうちに口座のある銀行と支店名だけでも聞いておくとスムーズになる」(同前)
迅速に進めないと、借金が多い場合などに相続放棄の期限(3か月)に間に合わなくなる。