中国においても少年犯罪の蔓延は社会問題化しているようである。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。
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春節(旧正月)では、一年間かけて稼いだ金を消費するといわれるほど大騒ぎするのが習わしである。その一方で、この春節を暗い気持ちで迎える者の落胆は深い。できれば正月だけは楽しく過ごしたい。というわけで春節前には最後の悪あがきとばかりに犯罪が増え、関連する報道も目に付くようになる。
だが、今年の犯罪報道で目立っているのは少年犯罪である。これはここ数十年の傾向ともいえるが、犯罪の低年齢化と過激化は社会に深刻な影を落としている。
なかでも問題なのが、14歳以下の少年による犯行で、少年らも自分たちが成人と同じように裁かれないことを十分認識したうえで犯行に及んでいることだ。
今年1月14日、安徽省滁州市来安県で現地の警察は窃盗を繰り返していた二人の少年を捕らえた。
二人の少年は20万元(約326万円)相当のスマートフォンを盗んだ疑いをはじめ計40件以上の窃盗にからんだとして取り調べを受けたのだが、その最中、なんと「オレたちは14歳だ。16歳にならないと刑務所には入れられないって法律で決まっているんだろう。だったら釈放されてからも、まだ400日間も泥棒ができる」と豪語したというのだ。
同じように『現代快報』(1月20日付)は、江蘇省阜寧県の14歳の少年が、やはり40件以上の盗みを繰り返し、その金でオンラインゲームで遊んだり、夜の街で豪遊していたと伝えている。
ネットの中では、「大人でも限られた人間しか行かないような場所に出入りしていた“少年”」に対して厳しい意見が相次いだとされるが、結局、「保護者に対するお願いしかできない」司法の無力さをさらしただけであった。