日本人の死因でがん、心疾患に次いで多いのは、肺炎だ。多くは高齢者に見られる誤嚥性肺炎。しかし、この季節は風邪やインフルエンザからの肺炎への移行も注意が必要である。
インフルエンザ大流行中は、診療所も患者であふれていて、弱った高齢の親を連れて行くことにも少々躊躇してしまう。大丈夫だろうか。地域の総合診療に取り組む東京・多摩市のあいクリニック中沢・院長の亀谷学さんはこう語る。
「肺炎の合併リスクが高いインフルエンザは、できるだけ早く治療した方がよいのです。今は市販のマスクの性能がよく、不織布製のマスクなら感染を防止する機能に優れています。ぜひマスクをしっかり着用して受診されることをおすすめします。
ただし、鼻を出して口だけを覆っていては感染防止にはなりません。マスクのまわりにすき間ができていても感染の危険があります。顔に合ったサイズを正しく装着することに留意して。またよほど衰弱している場合は、救急外来を受診したり、可能であれば往診してもらうのも手です」(亀谷さん・以下同)
すぐに受診するまでもない、あるいは家で少し様子をみようという場合は、極力エネルギーの消耗を控えるようにすることが重要だ。
「まず安静にすることを第一に考えます。室内は暖かくして、しかし乾燥しないように加湿し、消化のよい食事と水分補給につとめましょう。入浴は体力を消耗するので控えるのが賢明です」
さらに市販の風邪薬は、高齢者には注意が必要だという。
「風邪薬に抗コリン作用の成分が含まれていると、突然大声を出すなどの異常行動を起こす“せん妄”が表れることがあります。また鼻水などの症状にアレルギー性鼻炎に使われる薬を服用することがありますが、眠気などの副作用が強く出ることがあります。この場合には転倒にも注意が必要です」
※女性セブン2019年2月21日号