国内

五輪を名目にコンビニから追い出された成人向け雑誌の末路

コンビニは追い出されたが、まだまだ根強い人気も

 コンビニエンスストアの商品配置といえば、外から見える窓際一面に雑誌棚があるのが定番だ。ところが、その売り場構成が崩れようとしている。雑誌の販売が不振であることが主な理由だが、その先がけであるかのように、成人雑誌の取り扱いを大手コンビニチェーンが相次いで中止している。ライターの宮添優氏が、成人雑誌は消えるのか、生き残る可能性はどこにあるのかについてレポートする。

 * * *
 セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手三社が、ついに成人向け雑誌の販売を取りやめると決定した。賛成派から「教育の為」「オリンピック前に当然の措置」「女性を傷つけてきた」などの意見が出る一方、反対派からは「表現規制だ」「紙文化の衰退」といった声も上がる。だが、そもそも成人向け雑誌の役割はすでにネットが担っている、といった現実もあり、成人向け雑誌が本当に必要なものなのか?といった見解もある。

 筆者は元雑誌編集者である。成人向け雑誌といえば、製作者(編集部)側の「職人気質」なイメージが強い。グラビアが中心であるために、読者に「どう見せるか」を、カメラマンや編集者が技術や経験を活かし、他紙に負けじと大変な労力を注ぎ、製作していたというイメージが強いのだ。

 しかし、それらの写真や映像は、今やネットで簡単に、そして無料で閲覧できるようにもなった。多くの成人向け雑誌は廃刊や休刊に追い込まれ、成人向け雑誌がメインだった出版社、編集プロダクションの縮小、廃業も相次いだ。いまも続いている雑誌はいくつかあるが、ビデオメーカーの広報誌か、減少した予算にあわせてギリギリで回しているところばかりだ。

「すでに成人向け雑誌は”ビジネス”としては限界です」

 こう話すのは、筆者とは旧知の仲の成人向け雑誌編集者。業界歴は三十年。平成初期、アダルトビデオが家庭用VHSデッキで簡単に視聴できるようになったころが成人向け雑誌の全盛期だったと話す。

「当時はビデオと雑誌の住み分けがあった。平成十年代後半ごろから、アダルトDVDが主流になり、そしてネットでも見られるようになると、成人向け雑誌の役割はアダルトDVD業者の宣伝ばかりになりました。実際、雑誌をめくってもほとんどが映像作品からの切り取りばかり。撮りおろしのグラビアなどほとんどなく、どの雑誌も編集部員二~三人で、タイトルだけが違う中身の似たような雑誌を月に二冊も三冊も作らなければならない状態でした」(雑誌編集者)

 この頃の成人向け雑誌には、必ずと言っていいほどDVDの付録が付き、かつて500円以上はした価格も、200円台にまで下げて販売する出版社まで登場した。理由は、映像の切り取りだけで構成された中身であるから製作費が極端に低かったから。付録DVDに収録された映像も、複数のDVD作品のサンプル映像を寄せ集めただけで、確かに「映像作品の宣伝チラシ」そのものであったのだ。

「一つの雑誌が数万部売れる、なんてことは稀。低いところは一冊数百部の売り上げしかありませんでしたが、映像業者からの広告費などで月に百数十万の利益は出ました。売れなくてもよい、という雑誌ばかりでしたからスタッフ、編集者のモチベーションは低下するという、負のスパイラル状態に」(雑誌編集者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
《事故前にも奇行》広末涼子容疑者、同乗した“自称マネージャー”が運転しなかった謎…奈良からおよそ約450キロの道のり「撮影の帰り道だった可能性」
NEWSポストセブン
筑波大の入学式に臨まれる悠仁さま(時事通信フォト)
【筑波大入学の悠仁さま】通学ルートの高速道路下に「八潮市道路陥没」下水道管が通っていた 専門家の見解は
NEWSポストセブン
広末は再婚へと向かうのか
「これからもずっと応援していく」逮捕された広末涼子の叔父が明かす本当の素顔、近隣住人が目撃したシンママ子育て奮闘姿
坂本勇人(左)を阿部慎之助監督は今後どう起用していくのか
《年俸5億円の代打要員・守備固めはいらない…》巨人・坂本勇人「不調の原因」はどこにあるのか 阿部監督に迫られる「坂本を使わない」の決断
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者(44)が現行犯逮捕された
「『キャー!!』って尋常じゃない声が断続的に続いて…」事故直前、サービスエリアに響いた謎の奇声 “不思議な行動”が次々と発覚、薬物検査も実施へ 【広末涼子逮捕】
NEWSポストセブン
「居酒屋で女将をしている。来てください」と明かした尾野真千子
居酒屋勤務を告白の尾野真千子、「女優」と「女将」の“二足のわらじ” 実際に店を訪れた人が語る“働きぶり”、常連客とお酒を飲むことも
週刊ポスト
再再婚が噂される鳥羽氏(右)
《芸能活動自粛の広末涼子》鳥羽周作シェフが水面下で進めていた「新たな生活」 1月に運営会社の代表取締役に復帰も…事故に無言つらぬく現在
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
《病院の中をウロウロ…挙動不審》広末涼子容疑者、逮捕前に「薬コンプリート!」「あーー逃げたい」など体調不良を吐露していた苦悩…看護師の左足を蹴る
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン