子世代にとっては未知の部分が多く、ちょっとした不調でも戸惑う親の健康管理。相談できて、親のことを理解してくれる医療者が身近にいれば、どんなに心強いだろうか。今回、教えてくれた東京・多摩市のあいクリニック中沢・院長の亀谷学さんも、そんな地域医療を実践している家庭医(総合診療医)の1人だ。
「患者さんを臓器別に診察するのではなく、その人全体を包括的に診る。専門的な診察が必要な場合は専門医に紹介し、問題が解決したら、再びその後のケアまで担うのが家庭医です。幼児期から老年期まで長くつきあいながら、家族全体の健康相談、多剤併用になりがちな高齢者の薬の管理、終末期ケアまで継続的に診ます。
アメリカの研究では、成人1000人の地域で1か月間に起こる健康問題は、大学病院に入院して専門医療を必要とする人は1人未満で、大半が風邪や腹痛などの日常病だと判明。つまり多くの病気は町のクリニックで間に合うということです。この研究は40年後にも再度行われ、また日本でも同様の調査がありますが、すべて同じ結果でした」
家庭医は、世界中で定着している国が多い。日本では歴史はまだ浅いが、現在は学会認定の家庭医療専門医(総合診療医)が約700人いる。
「今後は新専門医制度の総合診療後期研修プログラムでトレーニングを受けた専門医が輩出されることになります」
ところで、年代によって医療とのかかわり方は変わる。
「子供のころは風邪や腹痛などで頻繁にクリニックにかかります。思春期から40代ごろまでは比較的病気が少なく、医療機関にかかる機会が減るかもしれません。それが年齢を重ねるにつれて、メタボリック症候群やがんをはじめとする病気が増えてきます。
そして高齢になると多臓器疾患を包括的に診ることが必要になってきます。人生のライフサイクルに沿って継続して診てくれる家庭医(総合診療医)のような、信頼できるかかりつけ医に託すのが健康管理のコツです」
※女性セブン2019年2月21日号