時代は移ろえど、経済的な格差と犯罪の発生率には密接な関連があるとされている。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
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春節の“爆買い”は、いまや日本の一つの冬の風景として定着してしまったようだ。そのため中国で「貧困対策」、「中国はいまだ発展途上国」と共産党政権が大声で叫んでも何となくピンとこない。
だが、中国の三面記事を読んでいると、その実態がよく伝わってくる。中国には確かにまだ多くの貧困があり、彼らがかかわる事件や問題には、人々の心を寒からしめるものが少なくないことがよく理解できるのだ。
春節を前に『南国早報』(1月24日)が伝えた記事には、まさにそうした中国の実相が描かれている。
タイトルは、〈“肉弾当たり屋”集団が各地で様々な事件を起こす 事前に自ら石で自分の骨を折ってから突っ込むというケースも〉である。
事件が起きたのは桂林市。細い路地を走っていた王さんは、突然飛び出してきた青年を車ではねてしまう。
当然の救護対応として近くの病院に搬送したところ、青年は鎖骨を骨折していて全治二か月と診断された。その治療費は約2万元(約32万6000円)だった。
王さんが治療費を支払う約束をして帰宅した翌日、被害者の家族と名乗る者が王さんに電話をかけてきて、賠償金の交渉をしたという。その額は、治療費と同じ2万元。
王さんはその家族と会い、慰謝料を支払ったのだが、その直後、病院から電話が入り、被害者が消えてしまったと知らされたのだ。しかも医師によれば、彼の鎖骨の骨折は自動車事故とは無関係であるとのことだった。ここで自分が狙われたことに気付いた王さんは、警察に通報。事件が発覚した。
当たり屋は4人のグループで、みな何かしらのけがを負っていたというから恐ろしい。