芸能

沢口靖子のアップ回数は少なかった…科捜研ドラマ2作の違い

沢口靖子主演『科捜研の女』と『トレース』の違いは?

 錦戸亮主演で好調をキープしている月9ドラマ『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)。沢口靖子主演の長寿ドラマ『科捜研の女』(テレビ朝日系)を意識したサブタイトルでも話題を集めているが、両ドラマの違いをコラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 毎回、難事件と格闘する『トレース~科捜研の男~』の真野礼二(錦戸亮)。タイトルを聞いたときは、誰もが「科捜研の男って」と思ったはずだが、意外にサラッと受け入れられていたのにもちょっと驚いた。考えてみれば、日本テレビでは『家政婦のミタ』もあったし、テレビ朝日にも『家政夫のミタゾノ』もあったわけで、いちいちタイトルで驚く時代じゃないんでした。

 それにしても、である。同じ「科捜研」を舞台にした作品でも、「男」と「女」ではドラマの作り方がまったく違う。一番の違いは、キャラクター重視か、科学重視かというところだ。

『科捜研の男』は、圧倒的に登場人物寄りに話が進む。主な顔ぶれは、協調性がなく、単独行動が多い真野と科捜研の新人沢口ノンナ(新木優子)、たたき上げ刑事・虎丸良平(船越英一郎)である。真野には、自身にも家族を巻き込んだ悲惨な事件の経験があり、その真相解明がドラマの大きな軸だ。ノンナは「自分は科捜研に向いてないかも…」とすぐに涙目。虎丸は、常に「不機嫌・大声・黒ずくめ」の3点セットで大股で歩いている。

 一方、『科捜研の女』の主人公は、京都府警科学捜査研究所の法医研究員・榊マリコ(沢口靖子)。1999年のスタートで、現在、日本最長寿ドラマシリーズの座を守り続けているだけに、今さらキャラクターの説明の必要もない。マリコは番組スタート当初は、かなりの変人キャラだったが、すっかり落ち着き、科学一筋20年!親友がからんだ事件やラブロマンスっぽい話もあったけど、もはやマリコ本人の過去や未来に何があっても驚きません!という域に達している。

『科捜研の女』には、「名言」と「謎の妄想」があるのも大きな特長だ。たとえば、シーズン16の第四話「似顔絵の女」でマリコは「科学は人を救うと信じている」「私たちは私たちのできることを」などときっぱり。そんなマリコは妄想の中で、金髪お姫様になったり、新選組の隊士になったりすることもある。お茶目シーンもお約束だ。

「成傷器照合」「ALSによる遺留品鑑定」「足跡鑑定」「口唇紋鑑定」など鑑定法を毎回繰り返しテロップで出して、物忘れの激しい世代にもアピールするサービス精神も忘れない。さすが、視聴者の心をつかむコツをよく知っている。

 だが、「男」には「女」にない要素がまだある。それはアップの数。スターのアップを多用するのは、月9枠の伝統ともいわれるが、試しにカウントしてみると、『科捜研の男』第6話では中盤の10分間だけで、新木優子のアップが実に20回!(このアップは単独で大きめに顔が映し出されるというペリー判定)、同様に前述した『科捜研の女』シーズン16第4話中盤10分間のマリコのアップは4回だった。各話の内容にもよるが、マリコはチームで動くことが多く、単独のアップは基本的に少ない。血痕採取の綿棒のほうがじっくり映し出されてるくらいである。

『科捜研の女』は来シーズン、近年の日本のドラマには珍しく1年間放送されるという。20年目にしてこのパワー。紫色のゴム手に同じ色のマスクでコーディネイトもばっちりの『科捜研の男』も、まだまだ頑張ってほしいものだ。

関連記事

トピックス

タイ警察の取り調べを受ける日本人詐欺グループの男ら。2019年4月。この頃は日本への特殊詐欺海外拠点に関する報道は多かった(時事通信フォト)
海外の詐欺拠点で性的労働を強いられる日本人女性が多数存在か 詐欺グループの幹部逮捕で裏切りや報復などのトラブル続発し情報流出も
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《虫のようなものがチャーシューの上を…動画投稿で物議》人気ラーメンチェーン店「来来亭」で異物混入疑惑が浮上【事実確認への同社回答】
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《追悼・長嶋茂雄さん》王貞治氏・金田正一氏との「ONK座談会」を再録 金田氏と対戦したプロデビュー戦を振り返る「本当は5打席5三振なんです」
週刊ポスト
打撃が絶好調すぎる大谷翔平(時事通信フォト)
大谷翔平“打撃が絶好調すぎ”で浮上する「二刀流どうするか問題」 投手復活による打撃への影響に懸念“二刀流&ホームラン王”達成には7月半ばまでの活躍が重要
週刊ポスト
懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト