結婚はもちろん愛あればこそだが、経済的な側面と切り離せないのも事実。このところ中国の若者の結婚事情も変化しているという。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。
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一人っ子政策──すでに実質的にはなくなっているが──の推進などによって生じた人口の偏りは、いびつな男女比へとつながり、将来、結婚できない男性の数が3000万人に達するとの予測もある中国は、ただでさえ男性には厳しい環境だ。
だが、そのかわいそうな男性に、さらに重く冷たい仕打ちが話題となっている。それが結婚したい相手の母親から求められる高額な結納金の問題である。
かつては結婚前に家一軒用意して花嫁を迎えに行くのが──住宅事情の厳しい地域では両親と同居でも可──慣例であった。しかし、さすがに昨今の異常なまでの不動産高騰を受けてそんな要求は影を潜めたが、それでもそれなりの金銭は用意しなければならないのだ。
もちろん、とはいってもない袖は振れないというケースも少なくない。では、どうするのか。
1月19日に『北京青年報』のウェブ版が載せた記事によれば、いま中国の若者の間では、高額な結納金の要求をクリアできないカップルたちの間では、「できちゃった婚」が流行し始めているというのだ。
記事では、付き合い始めて6年というカップルが紹介されているのだが、彼らが結婚に際して要求されたのは結納金として20万元(約328万円)で、結婚にかかる総額は、なんと100万元(約1640万円)にもなるというのだ。
これでは、「できちゃった婚」に走ったとしても不思議ではない。こんなに若い男性をいじめては、いずれ中国で男性の本格的な「草食化」に悩む日も近いのかもしれない。