定年後の人生プランは2つに大別される。〈働きながら年金をもらう〉のか、それとも〈働かずに年金だけで生活する〉かだ。どちらの道を選ぶにせよ、長いサラリーマン人生で積み立ててきた“老後の給料”と資産を最大限に活用したい。
働くか、働かないかで年金を減らさない方法は変わる。働く高齢者の在職老齢年金は、65歳未満は給料と年金の合計が「28万円」、65歳以上になると「47万円」(2019年4月から)を超えると年金カットが始まる。
そのため働き方の工夫が必要だ。まず年齢で働き方を変えてみる。
これまでサラリーマン生活を送ってきたAさんの特別支給の老齢厚生年金(2階部分)は10万円。定年後から64歳までは週3日の短時間勤務で、月給を18万円に抑える働き方を選んだ。年金を合わせた月収はちょうど減額されない28万円となる。そして65歳からは心機一転、フルタイム勤務で稼ぐつもりだ。月給37万円までは年金カットされずに給料も年金も丸々手に入る。
もっと稼ぎたいと思う人には、別の方法がある。 “年金博士”の北村庄吾・社会保険労務士が語る。
「在職老齢年金は厚生年金加入者でなくなれば減額されません。そこで会社に相談して社員ではなく、フリーランスの立場で業務委託契約などを結ぶ。そうすれば厚生年金から外れ、いくら収入があっても年金は全額もらえます」
一方、年金だけで生活するBさんの考え方の柱は、年金額を減らしてでも、「住民税非課税世帯」を目指すことだ。所得税・住民税が課せられないうえ、天引きされる社会保険料が格段に安くなり、年金の手取り額を最大にできるメリットがある。