本誌・週刊ポスト(1月1日・4日号)で特集した「緊急体験ルポ いよいよ始まったAI(人工知能)医療診断」では、がんを高確率で見つけ出す「AI内視鏡画像診断支援システム」(千葉県我孫子市・東葛辻仲病院)を紹介した。実は、この診断を体験取材した本誌記者(52)は、それをきっかけに「初期の食道がん」と診断されていた。発見から治療までどのような流れだったのかを本誌記者が報告する。
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私が東葛辻仲病院を取材のため訪れたのは、昨年12月半ばのことだった。この病院では、2018年5月から「AI内視鏡画像診断支援システム」を導入した。1万2000枚以上の胃がんの内視鏡画像に、内視鏡医が病変の範囲をマーキング。そのデータを独自のディープラーニング・システムでAIに学習させたという。
50代になり、老いには抗えないと感じるが、この歳まで大病もなく、毎年の健康診断でも異状は見当たらなかった。だから、「AI診断を体験してください」という編集部の依頼にも「結果は『異常なし』だろうから、記事が面白くならないのでは……」と心配していたほどだ。
ところが、内視鏡カメラによる検査を体験した後、医師から聞かされた言葉は想定外のものだった。
「胃より食道に問題があります。炎症で膨れているところがある。組織検査をして、悪性かを判別します」
検査結果を見ると、AIは確かに私の病変を“異常箇所”としてマーキングしていた。だがこの時はまだ、「たいしたことはないだろう」と高を括っていた。しかし数日後、取材でお世話になった病院の広報担当者から連絡が入った。
「担当医師から、ご本人と直接話したいと。できるだけ早く病院に来てください」