ドナルド・トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の2度目の米朝首脳会談が2月27日からベトナム・ハノイで行なわれることが決まった。この会談が日本の安全保障に大きな影響をもたらすと指摘するのは、元NHKの外交ジャーナリストの手嶋龍一氏だ。
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米朝首脳会談で米朝関係がなし崩しに前進すると、その先には朝鮮戦争の終戦協定がある。ハノイ会談でこれに踏み込む懸念があります。北朝鮮は終戦を強く望んでいる。終戦協定を結べば、アメリカから先制攻撃を受けるリスクがぐんと少なくなるからです。
米朝の融和や朝鮮戦争の終結を韓国も望んでいます。今の(韓国の)文在寅政権は民族統一を掲げて北に傾いています。
1989年にベルリンの壁が崩壊し、冷戦は終結した。だが、それはあくまで欧州の情勢であり、北東アジアではまだ「冷戦構造」は残っているのです。その北東アジアでのベルリンの壁に相当するのが38度線です。西側陣営と東側陣営の分断の象徴“38度線の壁”は、現時点ではぐんと低くなりました。
韓国の「力ベクトル」が北朝鮮に向かっている分、日本には遠心力が働き、日韓関係はひどく悪化しているのが実情です。昨年の徴用工の問題、レーダー照射問題、さらにここへきて韓国国会議長の発言(米通信社のインタビューで、「天皇が元慰安婦に直接謝罪すれば慰安婦問題は解決できる」と述べたこと)で日韓の溝は広がっています。