5月1日の新天皇即位を前に、皇室と日本人の未来を考えるうえで知っておくべきこととは何か。ジャーナリスト・池上彰氏による解説を、『池上彰の「天皇とは何ですか?」』(PHP研究所刊)より一部抜粋してお届けする。
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「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の表明から特例法が成立する過程では、「皇室の将来」ということも、大きな論点になりました。
実は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」には、新しい天皇が即位されたら、安定的な皇位継承をするための検討をすぐに始めなさい、という「附帯決議」というものが盛り込まれています。その文章を見てみましょう。
〈政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること〉
ここで言われている「皇位継承を確保するための諸課題」とはどういうことでしょうか。
2019年5月1日に、現在の皇太子さまが新しい天皇に即位された後、皇位の継承順位は、1位が秋篠宮さま、2位が秋篠宮さまのご長男である悠仁さま。3位は天皇陛下の弟である常陸宮さまです。つまり、2019年5月1日以降、皇位継承権のある皇族は3人だけということになります。