2月8日、ツイッターに1本の動画が投稿された。飼い主の50~60代の女性の後をよろよろと歩く白いラブラドール・レトリバー。すると突然、飼い主は右足で犬の腹部を思い切り蹴り上げた。犬は衝撃で倒れ込んだが、しばらくすると起き上がり、飼い主を見上げると、再びそばへとついていく。しかし、数歩歩くと、再び飼い主の容赦ない蹴りが腹部を襲う。
この虐待の様子に気づいた女性が動画を撮影し、投稿。さらに、この動画をFacebookで見つけた動物保護団体「紫友会」代表の川村紫さんが、虐待があった場所を特定、実際に飼い主が虐待している現場を目撃したうえで、警察に通報した。
警官が駆けつけると飼い主の女性は騒ぎ始め、「犬を奪うなら死んでやる」「お前を刺し殺してやる」「家を調べて火をつけてやる」などと叫び、包丁を振り回したという。女性は警官に取り押さえられた。
現在、虐待を受けていたラブラドール・レトリバーは、紫友会に保護されている。ちなみに、その名前は「レイ」という。
◆火のついた布団を道路に投げた
京都駅から南に車で20分ほど行くと、工業地帯の間にぽつりぽつりと住宅が建つ。虐待の現場となったのは30年ほど前にできた住宅地で、飼い主の女性は4年ほど前に夫婦で引っ越してきたという。飼い主の女性は犬への虐待だけでなく、近隣への迷惑行為も繰り返し起こしていた。
「夜中でもしょっちゅう奇声を上げて、道路に向かって陶器やら卵を投げるんです。危ないし、子供も通学の時にあの家の前を通れんようなった。
3年前ぐらい前には、奥さんが2階の窓から火をつけた布団を道路に投げはって。旦那さんが表に飛び出してきて、必死になって火を消してはった。消防車やパトカーが来て騒然とした雰囲気やったな」(近隣住民)
女性がレイを散歩するようになったのは最近で、それまでは夫が朝と夕方、散歩に連れて行っていたという。
「奥さんが散歩するようになったんは、旦那さんが体調を崩したからやって聞きましたよ。一度、夫婦げんかをしたんか“私の人生返して!”って叫び声がして、その後救急車が来て大騒ぎになったこともあります。あそこは家庭の問題もあるんかもしれんなぁ」(別の近隣住民)
ペットなどに対する動物虐待の検挙件数は5年連続で過去最悪を更新していて、昨年の摘発件数は68件。ペット法学会理事の杉村亜紀子弁護士が語る。