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肺がん「X線検査」の発見率はわずか5割 見落とし多い理由

なぜそんなに見落としが多いのか(時事通信フォト)

 男性の罹患者は胃がんに次ぐ2位、死亡者数は1位。血管が集まる“肺がん”は転移しやすく、ステージII以降の死亡率はステージIと比べて大きく跳ね上がる。

 そうした高リスクの疾病だからこそ早期発見が重要だ。しかし、肺がん検診で行なわれている検査には、“弱点”があることを認識しておく必要がある。都内在住の67歳男性がこう話す。

「定年退職してから毎年肺がん検診を受けていたのに、今年受けた検査では『肺の隅のほうに影らしきものがあるので、もっと詳しく調べましょう』といわれた。

 それで精密検査を受けたら、ステージIIの『腺がん』と呼ばれるタイプの肺がんだということが分かったんです。毎年検査を受けていたのに、どうしてもっと早く見付からなかったのか……」

 自治体が40歳以上を対象に行なう「肺がん検診」では「胸部X線(レントゲン)検査」が用いられており、毎年300万人以上が受診している。だが実は、前出の男性のように「見落とされるケース」は珍しくない。

 医療事故情報を収集する日本医療機能評価機構が複数の研究をまとめた報告では、X線検査における肺がんの偽陰性率(陽性にもかかわらず検査結果が「陰性」とされた割合)は最大で50%にのぼるという。腫瘍内科医で医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が解説する。

「肺がんの初期症状は咳や痰など風邪と似ているため気付きにくく、早期発見するためには定期的な検査が不可欠です。

 しかし、X線検査の画質では、がんがおよそ2cm程度にならないと写らないため、小さいがんを見落としてしまいます。2cm以上の大きさになれば見付けられる可能性は高くなりますが、見付かった時点でステージIIかそれ以上進行しているケースがほとんど。ステージIで発見できるケースはむしろ稀なのです」

◆「X線」と「CT」何が違うのか

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