『BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす』(太田出版)の著者で、BL研究家の溝口彰子さんが指摘する。
「基本的にBLは男性同士が恋愛すれば、後は何をしてもいい自由なジャンル。最近は才能ある書き手が続々と現れて、どんどん進化しています」
明治大学で「ジェンダーと表象」を教える藤本由香里さんはこう話す。
「もともと女性が楽しむマニアックな読み物として発展したBLには、少し閉じた感じがありました。しかし最近ではそれが少しずつ現実に対しても開かれてきて、溝口さんも著書で指摘するように、当事者が見ても共感できる作品が増えているように感じます。
なかでも『おっさんずラブ』は、男同士の恋愛を“特殊な恋愛”として描かず、『人が人を好きになるとはどういうことか』という普遍的なテーマを丁寧に描いていました」
BLといえば、性交渉シーンを“お約束”として思い浮かべる人も多いだろう。だが、それが必須というわけではないという。マンガ研究者のヤマダトモコさんは言う。
「BLの世界は本当に多様です。ハードな性交渉を描くものもある一方で、性交渉はなく、男性同士の固い絆だけを描くものもある。内容の幅広さが現在のBLの大きな特徴です」
東京・渋谷のスクランブル交差点の目の前にある書店、SHIBUYA TSUTAYA。地下1階のコミック売り場には、BL作品が平積みされる。
「ここ数年で売り上げは右肩上がりです。映像化作品も増え、間口が広がり、読者層は20~30代女性を中心に10~50代まで幅広くなり、男性購入者も増えました」(SHIBUYA TSUTAYA BL担当者)
※女性セブン2019年3月7日号