がんは早期発見、早期治療が大原則。日常の些細な異変に気づくかどうかが、重要となる。たとえば、体重減少は胃がんの初期症状に多く見られる。獨協医科大学総合診療科教授の志水太郎医師はこう話す。
「食欲が減退することが多いため、体重が減ります。胃の壁は食事をすると消化のため膨らんだり縮んだりしますが、腫瘍ができると、その部分は硬くなって伸縮しないことがあります」
そのため、食べ物の流れが停滞し、すぐにお腹がいっぱいになる「早期膨満感」という状態になりやすい。
「食道近くに腫瘍ができた場合は、『早期膨満感』に加えて、食べ物をのみ込んだ後に、違和感や吐き気を覚えることがある。うまくのみ込めず逆流性食道炎を発症したことがきっかけで、がんがわかったケースもあります」(志水さん)
のみ込むのがつらい場合は、食道がんの可能性も考えられる。東京ミッドタウンクリニックの森山紀之医師が言う。
「通常であれば食べた物が食道に入ると、『ぜん動運動』とよばれる動作によって食べ物が胃に運ばれます。しかし、がんができたところは硬化して動かないうえ、細くなるため、通りにくくなる。ゼリーのようにのみ込みやすいものならば異変に気がつきませんが、肉のようにボソボソしているものは詰まりやすく、違和感を覚えやすい。実際、そうした症状から食道がんが見つかることもあります」
いつもと違うお腹の痛みにも要注意だ。
「胃がんの場合、肋骨の下とおへその中間の『みぞおち』が痛みます。痛みの種類は人によってそれぞれで、キリキリする人もいれば、重い鈍痛を感じる人もいます」(志水さん)
医療ジャーナリストの村上和巳さんは「口臭で胃がんがわかったケースもある」と言う。
「それまでなかったのに、強い口臭が出てきたら、胃がんの可能性がある。実際に私の母がそうでした。まるで便のようなキツい口臭がするので、病院で内視鏡検査を受けたら、胃がんだった。幸いにも比較的早期で、手術をして15年経ちますが、今も元気です」
これまでにあげたような兆候が続けば、一度、内視鏡検査をしてもらうと安心だ。
「病院に行く1つの目安は、複数の症状が出ていること。例えば、食欲が低下して体重が減少気味だとか、胃が痛くて吐き気もあるなら、一度、胃の内視鏡検査を受けてみるのも手です」(志水さん)
※女性セブン2019年3月7日号