ライフ

認知症の開始は「もの忘れ」だけではない、早期の受診を

シニアメンタルクリニック日本橋人形町院長の井関栄三さん

 認知症は今や多くの人の関心事だが、一方で曖昧で偏ったイメージや漠然とした不安を抱く人も多い。一般的によく知られるアルツハイマー型認知症以外にも、レビー小体型、血管性、前頭側頭葉変性症ほか多くの種類があり、それぞれ特徴がある。きちんと知っておかないと受診のタイミングを見逃し、症状に翻弄されることにもなるのだ。

 認知症は早期診断、早期治療が大事と語るシニアメンタルクリニック日本橋人形町院長の井関栄三さんに聞いた。

 高齢者の認知症といえば、もの忘れがひどくなって同じ質問を繰り返し、何もできなくなる…というのが一般的なイメージかもしれない。しかし、必ずしもすべての認知症がもの忘れから始まるわけではない。

◆認知症にも種類がある。老化との違いにも注意を

「認知症は、さまざまな原因で脳の器質的障害が起こり、生活に支障を来した状態のこと。この“原因”となる病気によって症状や進行具合もかなり違うのですが、その種類も数多いのです。

 現在、日本でいちばん多く、よく知られているのが、記憶障害で始まるアルツハイマー型認知症。次いで多いのが幻視が特徴的なレビー小体型認知症、脳血管障害が原因の血管性認知症。この3つは三大認知症と呼ばれています。

 このほか脳の前頭葉、側頭葉が萎縮する前頭側頭葉変性症なども知られていますが、他にも多くの認知症があります。記憶障害はほとんどの認知症に共通しますが、アルツハイマー型のように初期にわかりやすく表れるケースだけでなく、レビー小体型や前頭側頭葉変性症のように初期にはあまり目立たない場合もあり、“もの忘れ”だけを認知症の指標にすると受診のタイミングを逃すことにもなります」

 また“老化”との違いもわかりにくく、家族が異変と気づけないこともある。

「認知症は少しでも早く治療を始めることが大切なのです。治療といっても投薬だけではなく、本人や家族が病気を理解し、生活上の注意や工夫を行っていくことが重要。医師とともに本人、家族がこれらに取り組むかどうかで、後の経過は大きく変わります」

 認知症の種類によって治療の方法は違う。きちんとした検査で認知症の種類を鑑別し、適切な治療を行うためにも、少しでも早く受診することが望ましいという。

「そのためにも身近な家族が早く“気づく”ことが重要。主な認知症のわかりやすい初期症状を挙げますが、3か月前と比べて、症状が顕著になってきているようなら受診をおすすめします」

※女性セブン2019年3月7日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

再ブレイクを目指すいしだ壱成
《いしだ壱成・独占インタビュー》ダウンタウン・松本人志の“言葉”に涙を流して決意した「役者」での再起
NEWSポストセブン
来春の進路に注目(写真/共同通信社)
悠仁さまの“東大進学”に反対する7000人超の署名を東大総長が“受け取り拒否” 東大は「署名運動について、承知しておりません」とコメント
週刊ポスト
司忍組長も傘下組織組員の「オレオレ詐欺」による使用者責任で訴訟を起こされている(時事通信フォト)
【山口組分裂抗争】神戸山口組・井上邦雄組長の「ボディガード」が電撃引退していた これで初期メンバー13人→3人へ
NEWSポストセブン
『岡田ゆい』名義で活動し脱税していた長嶋未久氏(Instagramより)
《あられもない姿で2億円荒稼ぎ》脱税で刑事告発された40歳女性コスプレイヤーは“過激配信のパイオニア” 大人向けグッズも使って連日配信
NEWSポストセブン
俳優の竹内涼真(左)の妹でタレントのたけうちほのか(右、どちらもHPより)
《竹内涼真の妹》たけうちほのか、バツイチ人気芸人との交際で激減していた「バラエティー出演」“彼氏トークNG”になった切実な理由
NEWSポストセブン
ご公務と日本赤十字社での仕事を両立されている愛子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA)
愛子さまの新側近は外務省から出向した「国連とのパイプ役」 国連が皇室典範改正を勧告したタイミングで起用、不安解消のサポート役への期待
女性セブン
チョン・ヘイン(左)と坂口健太郎(右)(写真/Getty Images)
【韓国スターの招聘に失敗】チョン・ヘインがTBS大作ドラマへの出演を辞退、企画自体が暗礁に乗り上げる危機 W主演内定の坂口健太郎も困惑
女性セブン
第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン