がんの早期発見は、命を救うために非常に重要なポイントだといえる。がんはある程度進んでから、自覚症状が現れるのが一般的だ。
早期に検診で見つかるのが理想だが、検診で見つかる確率は100%ではないうえ、検診では調べにくいがんもある。検診だけに頼らず、自分が体の異変を感じた時点ですぐに病院に行けば、助かることは多いのだ。東京ミッドタウンクリニックの森山紀之医師が言う。
「職業柄、“手遅れ”になってしまった患者さんの話を聞くことがありますが、それまでに見つけるチャンスがあったとおっしゃるかたは少なくありません。不調を感じているのに、知人や家族から『そんなのがんじゃないわよ』『大丈夫』などと言われて、病院に来るのが遅れた人もいました。体が発するサインを感じ取った時点で病院に来れば、助かる可能性は充分にあります」
とはいえ、気になる症状があっても、“こんな些細なことで病院に行っていいのだろうか”と悩むこともある。獨協医科大学総合診療科教授の志水太郎医師は「医師に相談することをためらわないでほしい」とアドバイスする。
「例えば、便に血が混じっていても、がんではなく単に痔であることもありますし、心配な症状はただの勘違いかもしれません。しかし、気になることが続いたり、何かおかしいと勘が働くことがあったりしたら、遠慮せず医師に相談してください」
そんなとき心強い味方になるのが、かかりつけ医の存在である。志水さんはこう言う。
「近所の個人病院より大きな総合病院を好まれるかたもいらっしゃいますが最初から専門分化した大きな総合病院にかかることが適切かは状況によります。そもそも総合病院は待ち時間も長くなります。まずは症状を気軽に相談して、アドバイスをもらえるような、いつものご自身の状態を知る、かかりつけとなる医師を定めることをおすすめします」
“はじまり”を知っていればがんは決して「不治の病」ではないのだ──。
※女性セブン2019年3月7日号