2月25日に番付発表があった大相撲春場所。22歳の関脇・貴景勝にとっては大関獲りの場所となるが、「昇進のハードルはかつてなく高い」(協会関係者)という。
九州場所は13勝2敗で優勝し、初場所も11勝4敗だった貴景勝は、9勝すれば「3場所33勝」という昇進の目安をクリアするが、そう簡単ではないという。
「そもそも、秋場所で9勝していたので、先場所の時点で『3場所33勝』になっていた。それもひとり横綱の白鵬を破っての成績だが、千秋楽の大関・豪栄道戦で完敗したことを理由に昇進が見送られた。
過去に、豪栄道や稀勢の里(現・荒磯親方)は『3場所32勝』で昇進している。協会執行部との確執の末に退職した元・貴乃花親方の愛弟子だから、“スポットライトを当てたくない”という協会の思惑があったのではないか。9勝はもちろん、10勝でも“物言い”がつくだろう」(若手親方)
先場所、初優勝したモンゴル人力士の関脇・玉鷲の存在もある。玉鷲は「33勝」には11勝が必要な状況だ。
「“モンゴル勢の暴力体質”を問題視する協会側としては、玉鷲も脚光を浴びてほしい存在とはいえない。貴景勝と玉鷲のダブル昇進は、よほどの成績でない限りないだろう。貴景勝が『33勝』をクリアしても、玉鷲を下回る成績なら見送りの口実になる。八角理事長(元横綱・北勝海)の首をタテに振らせるには、最低でも11勝(3場所35勝)は必要ではないか」(同前)
兵庫・芦屋市出身の貴景勝にとっては“ご当地場所”だが、晴れて昇進するには“いきなり高くなった壁”を乗り越えなくてはならない。
※週刊ポスト2019年3月8日号