様々な健康法がメディアでは紹介されるが、それらはなぜ長続きしないのか。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師は、目的をはっきりさせ、「死」から始まる逆算の健康作りを実践している。鎌田氏が自身の健康作りについて解説する。
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今、世の中には健康情報があふれている。根拠のないトンデモ情報もあるが、やってみる価値のあるものも多い。しかし、いっときだけ夢中になるものの、長続きしない人が多いのではないだろうか。
その原因の一つは、何のために健康になりたいのか、モチベーションがはっきりしていないせいだろう。
「何をするにも、健康は基本だから」「できるだけ介護を受けたくない」というぼんやりした動機付けではあまりやる気に火がつかない。
その点、ぼくはやりたいことがはっきりしている。そこで、こんな目標を立てた。
イラク戦争後、イラクの難民キャンプで診察をしてきた。この活動を80歳になっても続けたいと思っている。テロリストがうごめいているような地域には、万が一のことを考えて、若い人は行かせられない。でも、80歳のカマタなら何が起きても怖くない。無茶をするというわけではないが、覚悟をもってリスクを冒すことができる。年代によって、社会に果たす役割がそれぞれ違うのだろう。
日本は災害の多い国だが、被災地にもすぐに飛んで行きたい。助かった命をどうしたら守っていけるか、どうしたら早く日常を取り戻せるか、地域医療に取り組んできたノウハウを生かしたいと思っている。