臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、「反対」が圧倒的多数となった沖縄県民投票を分析。
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米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る沖縄県民投票の結果が、2月24日出た。沖縄県民が示した民意は「反対」だ。結果を受けて翌25日、玉城デニー知事が会見を開いた。昨年9月の知事選で、新基地の建設に反対を訴えて当選した知事だったが、その顔に笑顔はなく、硬い表情のままコメントを読み上げた。
投票率は期日前投票を合わせて52.48%。「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択のうちのいずれかを選ぶ投票形式で、「反対」が総数の7割を超えた。賛成と反対の票が拮抗した場合、どちらでもないに投じられた票をどう解釈するのか危惧されていたが、その心配はなかった。
「民意が明確に示されたのは初めてであり、きわめて重要な意義あるもの」と玉城知事は述べたが、反対派にとって、この結果は手放しで喜べるものではないだろう。県民投票の有効性を測る投票率50%という線を越えたとはいえ、半数近くの県民が投票に行かなかったからだ。
その理由を沖縄タイムスは、こう報じていた。
「意思を示しても変わらない」
「賛否を選べなかった」
同紙は、新基地建設には反対だが、民意を示したところで、今の政府の姿勢は何も変わらないという諦めの気持ちや、普天間飛行場は無くしてほしいが、辺野古の埋め立てには反対という悩みがあったとしている。
この背景には、沖縄県が抱える複雑な事情があるらしい。そんな事情がなくても諦めは理解できる。私とて選挙に行かないこともあるし、行ったとしても、自分が1票を入れたところで、何が変わるものでもないのになぁと思ってしまうことも多い。