昨今、様々な加工食品が「超加工食品」などと呼ばれ、週刊誌やインターネットで健康面を問題視される風潮が強まっている。「だったら何を食べたらいいの?」と戸惑う人も多いはずだ。しかし、加工食品は決して「食べてはいけない」わけではない。ポイントは、“どのように商品を選ぶか”だ。そこで、加工食品として摂取する機会も多い「パン」についての賢い選び方を紹介する。
◆「トランス脂肪酸」の有無より「脂質」が低いものを選ぶ
パンを選ぶ時にまずチェックすべきは「栄養成分表示」の「脂質」だ。
炭水化物・たんぱく質と並ぶ三大栄養素である脂質は、人間が生きていくうえで不可欠な成分だが、大人も子供も1日の総エネルギーの20~30%に抑えるのが理想とされている。だが2016年の厚生労働省の調査では、日本の成人女性の約4割が目標値を超えていることがわかった。
糖質が1g=4kcalに対し、脂質は1g=9kcalもあり、脂質が高いとカロリーの摂取量も必然的に高くなってしまう。
さらに脂質には、体に悪影響を及ぼす「トランス脂肪酸」と「飽和脂肪酸」も含まれているため、なるべく減らすよう意識すべきと食品問題評論家の垣田達哉さんは言う。
「飽和脂肪酸は、バターや肉などの動物性油脂に含まれていて、一方、トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングなど、加工した油脂に含まれます。どちらも心臓病や動脈硬化のリスクがありますが、危険性はトランス脂肪酸の方が高いといわれています」
トランス脂肪酸の摂取目安は1日の総カロリーの1%で、仮に1900kcalなら約2gだが、日本人の平均的な摂取量は大多数が大幅に下回っている。また、最近は使用を控えるメーカーも増えており、そこまで神経質になる必要はないという。
「それよりも気をつけるべきは飽和脂肪酸です。日本人はトランス脂肪酸より飽和脂肪酸の過剰摂取が問題だと農林水産省の調査でも指摘されています。飽和脂肪酸の1日の摂取目安は総カロリーの7%以下、1日1900kcalなら14.7g以下です」(垣田さん)
バターや生クリームには飽和脂肪酸が多く含まれるため、甘い菓子パンやケーキは控えるのが得策だ。
脂質の少ない食パンを選ぶ時は、「イーストフード」「乳化剤」「pH調整剤」「膨張剤」が入っていないこともチェックしたい。なぜならこれらの添加物にも、リン酸塩が含まれている可能性があるから。
甘いパンが食べたくなった時には、食パンにハチミツやメープルシロップをかけて食べるのがいいだろう。
※女性セブン2019年3月14日号