ホテルの建設ラッシュが加速しているなか、国内有数の客室数を誇るプリンスホテルはどのような取り組みを進めているのか。異色の経歴を持つ同社のトップ、小山正彦社長に訊いた。同社は、デジタルネイティブに使い勝手のいい次世代型インターネットサービスを提供する「プリンス スマート イン」というホテルブランドを2020年夏に立ち上げ、若者の需要獲得を狙う。なお、小山社長はプリンスホテルの野球部出身という異色の経歴を持つ。
──インバウンド対策についてはどう考えている?
小山:「プリンス スマート イン」は外国人観光客の受け皿にもなると考えています。また、東京湾岸エリアの江東区潮見でも、600室規模の新規ホテル「東京ベイ汐見プリンスホテル」の運営を受託し、2020年7月に開業予定です。京都でも、清水寺から徒歩8分の好立地にある小学校跡地でのホテル事業を運営受託することが内定しており、今冬の開業を予定しています。
──逆に海外進出についても聞かせて下さい。率直に言えば、これまでプリンスホテルの海外での知名度は決して高くはありませんでしたが、ここへきて外資系ホテルのM&Aをテコに海外展開を拡大していますね。
小山:当社のフラッグシップホテルである「ザ・プリンス」を頂点に、プリンスブランドの総合力をもっと上げ、グローバルな海外ホテルチェーンに匹敵する存在になることを目指しています。
ニューヨークでプリンスホテルと言っても、まだまだ知らない方も多い。国内と比べると、海外ではその程度の知名度ですので、もっとブランド力を上げていかなければいけません。
そのためロンドンでラグジュアリーホテル「The Prince AKATOKI」をこの夏にオープンします。オーストラリア拠点のホテルチェーン「ステイウェル」を子会社化し、ステイウェルがロンドンで展開する高級ホテルを事業取得しました。
このブランドでは「和」を積極的に打ち出していく。日本文化をベースにしたデザインやおもてなしをふんだんに採用し、世界中の富裕層に訴求していきます。