グーグルが昨年10月より発売しているスマートフォンの「Google Pixel 3」と大きな画面の「Google Pixel 3 XL」は、当初、対iPhoneの本命とも目されていたが、今のところiPhoneの牙城を崩すまでには至っていない。だが、早くもPixelシリーズの廉価版が出るとの情報が駆けめぐり、俄然注目度が高まっている。経済ジャーナリストの河野圭祐氏が“グーグルスマホ”の可能性についてレポートする。
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Pixelはグーグル純正スマホの名称だが、すぐにはピンと来ない人が大多数かもしれない。初めて市場投入したのは2016年だったが、同年と2017年は日本では販売されず、ようやく第3世代のPixel 3/Pixel 3 XLが日本にお目見えしたのは、まだ昨秋だからだ。SIMフリー端末のほか、通信キャリアではNTTドコモとソフトバンクが扱っているが、「売れない」と判断したのか、それとも他の理由でかKDDIでは扱っていない。
実際、Pixelは商業的に成功したとは言えない。何よりも、価格が高いからだ。
価格レンジはおおよそ9万円~13万円。グーグルは、アンドロイドOSを搭載した低中価格帯端末は中国のファーウェイや台湾のエイスースなどに任せ、純正スマホは、ライバルであるアップルのiPhoneと真っ向勝負を挑む高価格帯に戦略変更した。その起点が、2016年から投入したPixelだった。
Pixel名のグーグル純正スマホは、2015年まではNexusと名乗っていた。その名称が日本でもそこそこ浸透したのは、2012年に登場したタブレットのNexus 7(生産はエイスース)と、翌2013年に出たスマホのNexus 5(生産は韓国のLG)以降のこと。両機種とも平均以上のスペックを持ちながら、当時としては低価格で登場、格安SIMカードやSIMフリー端末の黎明期とも重なって、それなりの販売実績を収めた。
Nexusのスマホに関して言えば、2014年に出した6インチのNexus 6(生産は中国のモトローラ)でかなり価格が上がり、2015年は中価格帯で5.2インチのNexus 5X(同LG)、高価格帯で5.7インチのNexus 6P(同ファーウェイ)と2機種を出したが、いずれも販売的には不発に終わった。そこで、2016年からPixelと名称を変え、iPhoneとの勝負に出たのだ。
だが、スマホは年々コモディティ化の色彩を強め、デザインや機能面での差別化も限界に近づいてきたこと、それでいて価格は相対的に上昇傾向になったことも相まって、iPhoneでも販売が低迷し、アップルも売上げの下方修正に追い込まれている。
そんな折、Pixel 3とPixel 3 XLに今年、廉価版機種が登場する見込みだという。