世の中には意外なアワードがあるものだ。「ベストフンドシアワード」に注目が集まっている。次の有力候補まで…。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが芸能界のふんどし事情について綴る。
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2月14日といえば、バレンタインデーだとばかり思っていたが、近年は「ふんどしの日」でもある。2を「ふう」、14を「どし」…確かに。語呂合わせ好きの私は、さっさと納得だ。
そして、先日、「日本ふんどし協会」により、恒例の「ベストフンドシアワード」の「ベストフンドシスト」が発表された。昨年、もっともふんどしで奮闘したと評価され、もしくはふんどしを愛用してほしいと協会から熱望されるプロフェッショナルとして大賞を受賞したのは平成ノブシコブシの吉村崇だった。さらに今年から新設された「期待の新人賞」には、俳優・映画監督の斎藤工が選ばれた。
実際に“ふんどしダンサー”として活動した吉村が大賞というのはわかるが、斎藤って、ふんどししてたったけ? と思ったら、この「フンドシアワード」の規定では、「今年、ふんどしの普及における活躍が期待できるプロフェッショナル」として選ばれているのである。ふんどし協会HPによれば、4月公開予定の映画『麻雀放浪記2020』において、斎藤はふんどし姿になって大暴れし、時代の寵児になっていくのだという。まだ公開されていない映画のふんどし姿が評価されるとは!ふんどし未来志向。
興味深いのは、過去の大賞受賞者である。2011年度・安田大サーカスの団長安田、2012年年度・住吉美紀(愛用者と公言)2013年度・古田新太(映画『押忍!!ふんどし部』に出演)、2014年度・サンプラザ中野くん、2015年度・とにかく明るい安村、2016年(該当者なし)ときて、2017年は映画『帝一の國』や大河ドラマ『おんな城主 直虎』でのふんどし姿が評価された菅田将暉が受賞している。
菅田は受賞公式コメントでは「気が引き締まる」「雄々しさがある」「逃げ道がない感じ」とふんどしへの思いを語った。逃げ道…。菅田は友人とふんどし飲み会を企画しているとうれしそうだったが、もう実行したのだろうか。とにかく、世の中にはこんなにもふんどし関連のエンタメ、人物が存在するんだと初めて知った。
私は時代劇取材が多く、ふんどしシーンを目撃することもある。大立ち回りで剣豪の着流しのすそがはだけてチラリと見えるふんどし。そのチラリがカッコよく決まるよう、小道具さんがふんどしの裏の角に重り替わりの硬貨を張り付けて、めくれあがったりしないようにしたなんて話も聞いた。ふんどしの表現力はなかなかのものなのである。
そうこうはするうちにも、次の「ベストフンドシアワード」の賞レースは始まっている。今のところ、もっとも「ふんどし寄り」の人物といえば、やっぱり毎朝、「冷水浴」を欠かさない大河ドラマ『いだてん』の主人公・金栗四三(中村勘九郎)だろう。気合が入っているのである。オリンピックのマラソンの結果はともかく、ベストフンドシアワード2019では、金栗四三の独走か!?
なお、2月14日は「ふんどしの日」で、3月14日は「ふんどし返しの日」だという。返しもあるんだ。ふんどし世界は、まだまだ奥が深い。