“警察署内”が現場であるにもかかわらず、迷宮入りしかけていた事件が動いた。2017年5月、広島県警広島中央署で会計課の金庫から詐欺事件の証拠品として保管されていた現金約8500万円が盗まれていると発覚してから1年10か月──。2月22日、「事件後死亡の警部補関与か」などの見出しで、県警が容疑者死亡のまま窃盗などの疑いで書類送検することを検討していると新聞各紙が報じた。
死亡したのは、本誌・週刊ポストが〈広島中央署「8500万円盗難事件」で取り調べを受けた捜査員の“謎の死”〉(2017年10月27日号)と報じていた30代のA警部補だった。捜査関係者が言う。
「Aは金庫に現金が保管されていることを知る立場で聴取を受けていたが、2017年9月に自宅で死亡した。ギャンブル好きで、競馬にはまって多額の借金があったことはわかっている。事件後に借金の返済を行なっていたため、書類送検に向けて動き出した」
ところが、これで解決とはならなかったようだ。地元紙記者が明かす。
「県警は書類送検で幕引きをできると考えていたようですが、借金返済の原資が盗まれた現金であるとの証拠はなく、書類送検にストップがかかったようです」